日本政治の行方
b0036638_18344.jpg11月に引き続き実に4か月ぶりの懇談会です。
講師は与良正男氏(毎日新聞社専門編集委員)。
今回もメモを見返し、内容を私なりに書きなおしたものです。

★略歴

昭和32年(1957年)静岡県出身。名古屋大学文学部卒業。1981年毎日新聞社入社。1989年政治部配属。東京本社政治部、官邸・自民党・野党、外務省担当キャップや政治無キャップや政治部デスクを経る。
現在、毎日新聞社専門編集委員。早稲田大学大学院公共経営研究科客員教授、新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)運営委員など歴任。『みのもんたの朝ズバッ!』『サンデーモーニング』(TBS)、『ちちんぷいぷい』(MBS)など情報・報道番組のコメンテーターとしてテレビでも活躍中。毎週火曜日には、MBSへ出演。

●安倍さんは強い

大げさな題で漠然として何をしゃべってもいい題だ。パワーポイントやレジメを用意してないしホワイトボードも使わない。
レジメを作っても世の中はすぐに変わる。ジャーナリストは日々の事を使えるのが仕事。資料を作っても古くなる。
安倍さんは相変わらず強い。その中に死角と言えるものがあるか考えてみたい。
国内の様子はうんざりとすることが多い。
プーチンは核兵器の準備をしていたという中、元首相の鳩山さんがクリミアへ行き”クリミアは友愛の国”と言った。
このような発言を聞いて国民は「民主党の時代よりは、今はまだマシ」と思う。
一部の団体に乗せられて行ったというのが真相。
しかし、自民党も威張れたもんじゃない。政治献金の話でいっぱいになっている。
また路上で国会議員同士のキスをして報じられている。
先々週のNHKの世論調査では、安倍内閣は8%落とした。此の前の毎日新聞の調査では横ばいだ。
安倍内閣成立後2年経過して40数%というのはそれまでの1年交代の内閣に比べとても高い支持率と言える。
この支持率は株価連動型といえる。総理執務室には株価の表示ボードがあり、総理はつねに気にしている。

●安倍内閣の死角

政治献金問題で野党の質問時に総理は「日教組はどうしたんだ」とつぶやいた。
イギリス議会では野次はよく出る。日本では吉田首相の「バカヤロー解散」などもある。が、毎回の委員会の中でブツブツつぶやく野次を飛ばす首相は今までに知らない。
この野次は、西川農水産大臣が補助金を受けた団体から1年以内に補助金をという政治資金規正法違反(言い換えれば知らなくて受け取った場合は罪にならないというザル法の典型)の質問で砂糖業界から迂回献金を受けたことを追及中に出た。
日教組発言に対し、当初質問者も、周りも総理が何を言いたくて何を問題にしているのかわからなかった。
安倍さんは「日教組が教育会館を迂回して、民主党議員に献金をしているのと同じ構図だ」と言いたかったようだ。
民主党の反応も遅かった。本来そこで否定できれば良かったのだが、「総理が言うのだから何か確たる証拠があるのかもしれない」と思ったのか丸一日たった翌日、前原議員の質問で、日教組が政府から補助金をもらうなどあり得ないし教育会館からの献金もないことを指摘。安倍総理は訂正し“いかんの意”を表明しい当面のケリがついた。
25年間政治記者をやっているがこれだけ事実無根の話しを首相が”そうだと思い込んで発言をした”例を知らない。
総理の“日教組嫌い”と敵視は強く、インターネットの書き込みからそうだと思い込んだのではないかとも噂をされた。
「何に基づいた情報か分からない」、「安倍さんは何をいいたいのかわからない」と周りの自民党が感じている。
これは一種の危機管理ができていない状況ではないか。
事実無根の思い込みで総理が相手を批判をしていたわけだ。喧嘩をするまえに事実を調べなくては喧嘩にならない。裸の王様とまでは言わないが、周りの意見が届かなくなったではないかと不安になる。
一強体制の中で誰も言わない。今や二階総務会長と元議員ぐらいしかいない。
派閥政治が良いとは言わないがかつての自民の強さは幅広い多様ないろんな路線があって、極端な意見に偏らない”振り子の原理”が働き国民にも政権担当政党としての安心感があった。党内が一色になる体制よりもいろんな議論があっていい。
自民党は一度決めたら反対派も従った。民主党の場合は、決めた矢先に「俺は反対だ」という人がすぐに出てくる。ノーサイドの笛が鳴ってすぐに試合が始めるのが民主党。

●権力者が「言論の自由」をいう

11月18日の解散総選挙を表明した安倍総理はTBS(関西ではMBS)の「NEWS23」の討論番組に出演をした。
この時街頭インタビューが流され、アベノミクスに期待するという声が2,3。否定的な発言が5,6出された。
これに対して安倍さんは「ねつ造ではないか」というような捉え方で怒った。
政権側としては「批判に耳を傾ける」というような発言をすれば済む場面だ。
2日後、幹事長室から選挙放送に対して「ゲストの選定、テーマの選び方、街の声の集め方を公正にして欲しい」という通知がきた。
選挙前には「公正中立」要請は普段からある。多様な意見を取り上げるということも大切なことだ。
しかし今回の通知は異例。上の方から「いちゃもんをつけられないように」という意向がくる。
前の選挙では、選挙期間中に選挙関係の報道が少なくなった。現場が委縮することはないがめんどくさいので取り上げなくなり、芸能番組でお茶を濁すようになった結果だ。
数量的に政治を扱わなくなり、その結果無関心になる。
その結果誰が得をするのかを考えたい。
民主党がやりすぎではないかと質問をすると、総理は「言論の自由」を言った。
総理自身が”自分の原論の自由”をいうのも、25年間の政治記者生活で始めて聞きズッコケた。権力者を縛るのが近代憲法だということが安倍さんには分かっていない。
誰も安倍さんを諌める人が今の自民党の現職議員にはいない。このとこが不安だ。

●憲法改正に向かう

公明党は手段的自衛権の行使については頑張っていると思う。
しかし、「公明党によってさまざまな“歯止め”をかけることが自衛隊の行動の手足を縛り何もできないと自民は思っている。やがて9条改正の話になってくるだろう。
来年の参院選挙で衆院とダブる選挙をして議席を増やしその次に衆院選挙と国民投票ということも言われている。立憲主義とは何かそこから議論をする必要がある。
今ある自民党案は国民へ義務を課す内容が盛られている。

●外交問題

“戦後70年の総理談話”でギクシャクしている中国との関係は、8月15日を乗り切れば何も起きないだろう。韓国も中国と日本が仲たがいをしなければついてこざるを得ない。
ここで気になるのは北朝鮮問題だ。
北朝鮮の「拉致被害者を再調査する」という言葉で安倍総理は一部の北朝鮮制裁を解除した。安倍総理は“行動対行動”と日頃言っている。
よく安倍さんは決断をしたとそこだけは評価するし応援をしたい。

安倍さんは90年に議員になりたてのころから横田さん達と関わった議員の一人だ。
小泉訪朝の時に安倍総理は副官房長官だった。
この時一時帰国の里帰りという曽我ひとみさんら5人を再び北朝鮮へ戻すかどうかで当時の福田官房長官と激しい意見の対立が生じた。
この時の暗黙の了解事項では、“核・ミサイル・拉致”の3点を解決すれば、韓国と動労の援助をするという約束があった。
この後、小泉さんが再訪朝しジェンキンスさんと娘に会う。
この過程での安倍さんの行動で若くして有力な総理候補として注目される様になる。
北朝鮮は「明日には崩壊する」と言い続けて10年を経過した。
北朝鮮は“金王朝を維持すること”こそが国目的。

家族会の高齢化の中で「何も進展しないね」という思いと我慢が家族会には続いている。
そういう中で横田さんもモンゴルで孫と面会した。おそらく願えば北は、孫を返して「拉致問題は解決」と幕引きをするだろう。
これらの経緯の中で、安倍さんの“行動対行動”という姿勢がある。
拉致被害者の調査についてはすでに分かっていることだ。
すでに、向こうはいくつかの選択肢を用意し水面下での接触があるのかもしれない。
報じることがどういう影響をもたらすのか考えると、拉致問題は本当に難しい。
中国、韓国、ロシア等難しいが、拉致問題は安倍さんにとって解決したい“1丁目1番地”。

●地方創生は手を挙げて地方から提案すべき

安倍内閣は、“第三の矢”と“地方創生”を重点目標としている。
施政方針演説で最初に持ってきたのが農協改革だった。
JAの監査権を取りあげることが規制改革につながるとしている。
日本が農業国になるわけではなく最初に掲げる話が農協改革では逆にいうと、はっきりとした政策がないということだ。
政府になにか確固たる政策を持っているという幻想を持たない方がいい。
あれこれ思いつくことは何でもやって、「その中からビルゲートやジョブスが出てくるといいね」と思っている程度。緻密な政策は期待できない。
民間から手を挙げてその実施上に問題になっていることの解消を政府に提案をして障害物をのぞかせるようにすべきだ。
地方創生にしても、政府がしっかりした政策を持っていないということは、地方自治体にはばれている。
待っていても何もしない。逆に手をあげるなら今だといえる。
若い官僚の何人かはつぶれ自治体があっても仕方がないと思っている。
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by okadatoshi | 2015-03-18 18:03 | 講演会記録 | Trackback | Comments(4)
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Commented by shinmama at 2015-03-18 21:10 x

お忙しそうに感じましたので コメントを控えさせていただいておりましたが
講演会のことを丁寧にまとめていただいているのを拝見し、
辛抱たまらなくなりました。

広島に住んでいても東京に住んでいても 
距離の問題ではなく 政治の世界は遠く感じ、
大きな問題でもないと 無関心になりがちです。

でも 自然災害や 隣国との問題には 非常に過敏になっていて
今回の講演会の内容は勉強になりました。
ありがとうございました。
Commented by okadatoshi at 2015-03-18 22:46
shinmama さま
誰が読むのかなぁと思いつつ、加齢防止の訓練としてアップしました。
文章起こしに4時間かかりました。
何年か政治がらみの講演を聞いていると、政治記者と政権担当者の
微妙な持ちつ持たれつの関係も推測できます。
総理の国会答弁では、「・・・・・・なんだろう」

というフレーズが良く出てきます。自分の言葉で相手の心を打つ語彙を
使えば説得力があるのですが。
今回の講師は柔らかな口調で政局をわかりやすく紐解き話してました。
Commented by kazewokiru at 2015-03-19 09:59
okadatoshi様

政治評論家のお話は、ワイドショー政治版のように思えまして、最近はあまり関心が有りません。
安倍さんの答弁も仰るように「・・・の上において・・・なんだろう」
安倍降ろしの影は微塵にもありませんし、国民から支持されている同郷の先生も遠のいて来ましたね。
拉致問題に関しても、安倍さん以外に推進される方がおられないように思えます。
アメリカでは、大統領の支持率とは別に夫人の支持率まであるのですね。
昭恵夫人はどうなんだろう?と、斜め目線。
Commented by okadatoshi at 2015-03-19 18:30
kazewokiruさん
野球談議のように政治のあれこれを論じたくはありませんが
直接我々の生活に関わるだけに、何とかしてほしいという思いと
「政治屋」の”ていたらく”にむなしさを感じる状態の振り子モードです。

政治資金規正法違反や政治活動費の使い道など、もう忘れかけている
某県の号泣議員と同質ですね。

チュニジアの博物館襲撃のニュースはショックでした。
海外旅行にはこれからは常にリスクが伴うでしょうね。
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