日米新政権で迎える経済新時代の展望
b0036638_19352564.jpg先月の21日に引き続き3/12に講演会へ行ってきました。
講師は、岩本 沙弓氏(国際金融評論家)。
カラフルなパワーポイントをコピーした資料が全員に提供され、経済問題をテキパキと早口で話されました。マスコミの表面的な掴みだけの記事の裏側を数値をもとに解説された濃厚な90分でした。

★プロフィール

大阪経済大学 経営学部 客員教授 1991 年より日米加豪の金融機関にてヴァイス・プレジデントとして外国為替、短期金融市場取引を中心にトレーディング業務に従事。 日本経済新聞社発行のニューズレターに 7 年間、為替見通しを執筆。金融機関専門誌「ユーロマネー誌」のアンケートで為替予想部門の優秀ディーラーに選出。
執筆、講演活動の他、政権政策会議の講師、参議院の参考人等を務める。主な著作に「新・マネー敗戦」(文春新書)、「最後のバブルがやってくる」(集英社)、「世界のお金は日本を目指す」(徳間書店)、「実は世界 No1 の日本経済」(潮出版社)など。

●日本の経済事情

内閣府が公表している月例経済報告は、政府が景気をどう見ているのかという点で参考になる。
今回は1月のものからパワーポイントを作成した。
昨年の11月には
・<現状>景気は、世界景気の減速等を背景として、このところ弱い動きとなっている。
・先行きについては、当面は弱い動きが続くと見込まれる。その後は、復興需要が引き続き発現するなかで、海外経済の状況が改善するにつれ、再び景気回復へ向かうことが期待されるが、欧州や中国等、対外経済環境を巡る不確実性は高い。
そのわずか2か月後の本年1月には
・<現状>景気は、弱い動きとなっているが、一部に下げ止まりの兆しもみられる。
・先行きについては、当面は弱さが残るものの、輸出環境の改善や経済対策の効果などを背景に、再び景気回復へ向かうことが期待される。
後ろ向きという表現が下げ止まりに変化している。この前向きのコメントは安倍さんの登場によるアナウンスメント効果だ。
DI(景気動向指数)の値も12月に入るとぴょんと上がっている。▼
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景気ウォッチャー調査では10月には▲(悪い)が多かったのが12月には軒並み〇(良い)や□が増えている。
アメリカ掲載も回復傾向にある。
次の表は、日本の経常収支の推移である。
経常収支とは、経常移転・所得・貿易・サービスの4つの収支をまとめて言う。
よく日本は貿易立国と言われるが、実は所得収支(海外に投資しそこから利益を得る)が毎月1兆円入っている。これらは、イギリス、フランス、アメリカなどの先進国共通の傾向である。貿易収支が2010,2011年と赤字に転じているのは、3.11による原発停止とその代替えエネルギーとしての化石燃料の輸入の増加である。足元を見られ高騰した。
サービス収支とは海外旅行で日本人が海外でお金を落とす費用。▼
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震災以降、化石燃料の輸入が急務となり資源価格が高騰していった。輸出の減少よりも、輸入の増加が貿易収支の悪化要因といえる。東京の知人に電話で聞いたらレギュラーガソリンがリットル161円になったと言っていた。
根幹の部分で日本の経済の実態はどうなのか。
2002年当時、ムーディーズは、日本国債を格下げし、ボツアナ(南アフリカの北隣の国)と同じランクした。
当時リーディングルームで働いていた私は「あまりにもひどい」と思った。
当時の財務省は反論を提出した。
日本は貯蓄立国で国際の9割以上は国内で引き受けられる。低金利で当時は世界最大の経常収支の黒字国で21年連続世界一。今でも中国が日本の半分くらい。
2002年の外貨準備額は世界最高。(現在は中国についで二位)
本当に悪ければ自国でお札をすることのできる国だ。
国際金融市場で16~17年間リーディング業務で働いている間、一度たりとも日本が財政危機にあるとは聞いたことがない。
日本は253兆の海外資産を保有している。日本は国が破たんする前にまずそれらを引き揚げるであろうから、まず日本よりも先に他国が破たんするだろう。
財政危機を理由に消費税を上げるというのはおかしいのではないか。
国際金融機関の世界では日本は財政的には安定している国とみられている。
IMFレポートでは借金漬けでも日本は大丈夫といっている。
その理由として各国の国際を保有する投資家ベースの分析でわかる。
投資家の区分として逃げ足の遅い(ヘッジファンドなど)に並べると
自国の中央銀行>自国の金融機関以外の投資家=海外の中央銀行
>自国の金融機関>海外の金融機関>海外の金融機関以外の投資家

となる。
逃げ足の速い投資家が多ければ100()、少なければ0()というスコアリングで表示したものが次の表である。
日米はしっかりした金融機関が占めており、ギリシャは極めて悪いことがわかる。▼
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●アベノミクス総括

日本の金利サイクルを見ると、4.6年に1回金利高騰が発生している。
安倍さんは3本の矢と言っているが次の6点にまとめられるのではないか。
1)物価目標を設定
2)金融緩和
3)国土強靭化
4)「日本経済再生本部」の設定
5)大型補正予算の編成
6)「官民協調外債ファンド」創設

この中で6)は50兆を外で使うことになる。懸念材料だ。国内でお金の循環が止まっている。今まで大企業が金を使ってこなかった。そこで、政府が公共投資などで金を使っている。そこは評価したいが、瞬間的に良くなっただけで景気の腰折れにならなければと心配をする。
政府は消費税を2014年と2015年に8%、10%の引き上げを先に発表しているが、政府のブレーンの方と話していると2014年の見送りを示唆している。そのことで、景気が安定した段階で一気に2015年10月になって10%アップになることが心配だ。
本当に実態経済を反映させて施策を取るべきで、私は消費財は引き下げてもいいと思っている。
2012~15年は目先に経済はいいだろう。この3年間で皆さんの会社はしっかりと経済基盤を確保して不況が予想される2016年に備えておくこと。
12月下旬にNHKスペシャル「日本国債」を仲間とチャットをしながら見ていたが、あの中で何を言いたいのかということが話題になった。
次の表は、一般会計歳出と税収の数位の折れ線グラフだが、消費税率を上げたびに“鰐の口”が開いている。消費税を」上げることが逆効果に読み取れる。▼
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消費税は日本国内だけのもので、国内の零細企業から取る。
大企業は製品を輸出することにより輸出還付金が支払われる。これにより利益が大企業にだけ入ってくる。
トヨタ自動車を管轄している豊田税務署は大きな赤字を出している。次の赤字を出している税務署は日産自動車を管轄している神奈川税務署だ。輸出企業のある税務署が赤字を出している。
アメリカには消費財は存在しない。論議はされるが有害な(不公平な)付加価値税とされ否定をされている。消費税の増収は10兆円と言われる。一方還付金は実は12.5兆円。この還付金制度がある間は値上げは効果がない。

金融緩和政策の限界がきている。
剰余資金がダブつき通称「ブタ積み」といわれ金機関の当座に有り余っている。
私が働いていたときそれらの資金がロンドン支店に送られ、そこからヘッジに流れた。
サブプライムローンの再来になりかねない。
緩和自体よりも今問題とすべきは金融機関の貸し出しの姿勢で、市井に流れるはずの資金を堰き止めている構造にメスを入れるべきだ。
日銀総裁が変わるが、黒田さんは外国の格付け会社に文句を言った(言える)人。
白川さんはノーマルな感覚の持ち主だった。
日本経済に死角は、エネルギー資源の確保をしていないこと。
天然ガスなどの確保を含めた国土強靭化政策であるべきだ。

●米国のシェールガス・オイル革命

歴代2期任期を務めた歴代大統領の為替政策を見るとクリントン、ブッシュともにドル安からドル高政策に動いている。
オバマ再選で株高・ドル高に動くことが予想される。
ドル高の材料としてはシェールガスである。
AP通信の第一報が2012年10月23日に出されその焼き直しの二次配信が国際エネルギー機関の情報を付随して出されている。
それによれば、
世界にエネルギー地図に変化?
日量平均 現在世界最大にサウジアラビアが1160万バレル。米国では2013年1140万バレル、2020年ごろ1300万バレル~1500万バレル。
エクソンモービル社のバッケン・シェール地域の占有率50%(60万エーカー)へなっている。米国が世界一の産油国に間もなくなるだろう。▼
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話題性だけが先行しバブル化の恐れもある。
ipadが我々の生活に浸透するまで10年かかる。シェールガス採掘技術も実体経済へ浸透するのにある程度の時間が必要になる。
金融市場は節操がない。ディーラーは先取りをする。
市場の一人歩きで投資資金を米国内に呼び込む好材料と米国政府は看過しているのではないか。オバマのシェールバブルで2013~2015は景気が上がり日本も連動する。
中間層の所得を伸ばすことにオバマは動くだろう。
ここでも最終年度2016年はバブルがはじけないかと心配だ。
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by okadatoshi | 2013-03-14 19:38 | 講演会記録 | Trackback | Comments(0)
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