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日本から文化力~遠くから見たNIPPON、日本から見た世界
日本から文化力~遠くから見たNIPPON、日本から見た世界_b0036638_23561657.jpg3月は3回出席。4月は忙しくパスをしました。5月になりやっと余裕ができたので、昨日聴きに行きました。3/23以来です。

講師は、ジェフ・バーグランド氏(京都外国語大学・大学院教授)。昭和24年アメリカ生まれ。日本人の夫人との間に3人のご子息がいる。京都存中42年余。高校教師歴22年。大学教授歴19年のキヤリアを誇る。専門は異文化コミュニケーション。現在は江戸時代後期に建てられた京町屋に暮らし日本人以上に日本を愛する一人でです。
久しぶりにipadの7notesでメモ書きしたものを元に修正してまとめました。

●日本に来て最初に驚いたのは傘

20歳で初めて日本に来たとき最初に驚いたのは傘だった。初めて傘に触れた。
世界で傘をささない国はたくさんある。日本の常識は世界には通用しない国がある。
私の生まれた場所はアメリカの中央部で海岸まで2500Km離れたところにある
気温は、夏40度、冬はマイナス30度。マイナス25度を超えると凍死の可能性もあリ休校だつた。雨もほとんど降らない。日本へ出発する前に雨のことは学ばなかった。

●日本はOBIの文化

「O」は「Observe」(五感で感じる、観察する)
「B」は、「Borrow」(多くのものを借りる、受け入れる)
「I」は、「Integrate」(総合する、自分のものにする)
という意味だ。私も日本に初めて来た時、日本人を観察して日本文化を受け入れて、日本人である自分を作ってきた。
日本へ来て山の手線に乗つた。当時は均一料金でどこまでも乗れた。そこで日本の“受信者文化”に触れた。
それは次のような出来事だった。
電車内で男の人の傘が座っている人の方へ倒れた。すると座わっていた人が「ウ~ン」。それだけで傘の持主は状況がわかリ傘をとり相手に謝った。この「ウ~ン」ですべてを解読する意志伝達にはびつくりした。
日本に来るまでは日本人は着物を着てチヨンマゲの日本人のイメージだつた。しかし着物姿を見たのは、来日3日目でそれも黒い袈裟を着たバイクに乗ったお坊さんだつた。
日本の都市でよく見るがパチンコ屋の横に寺がある。古いものと新しいものが背あわせに存在している。神秘的な国だ。
京都の町の人の会話もおもしろい。
朝竹箒で掃除をしているおばちゃんが、近所の人が通ると「おでかけですか?」
訊かれた人は「ちよつとそこまで。」曖昧な質問と返答だ。
これは“報告文化”といえる。
個人的なことを集団の中で行なう場合(郵便局あるいはトイレに行くこと)そのことを相手に報告をする。それを全体で確認をしている。
1950年代には人と物が動きそのことで人同士の摩擦が出ると予想されその通りになった。
日本は人間関係中心文化。日本に来たとき何にでもおじぎをする日本人にびっくりした。公衆電話の中でもおじぎをしているように見える。留学生仲間で、「あれは、定期的におじぎしないと電話が切れるのだ」と言っていた友人がいた。

●して欲しいことを見抜く日本人

日本は世界一の人の心を見る力がある。相手のして欲しいことを読みとる。
それと人間関係も縦の関係でかわる。
新幹線でこんな風景を見た。
私の前の席に二人の男が黙って座っていた。一人がトイレに立つとき「いつもすいません」と言って席を外し戻ってきた。それをきっかけに二人は話し始め、行く先のことなど話題なった。やがて名刺交換になった。それまでは年配の男が若い方に気軽に話していたのが、年配者が部長で若い相手が代表取締役であることがわかると年配者が立ち上がって「失礼しました」と言っていた。
日本人は五感に鋭い。雨の音の表現でも50以上ある。外国人にとって風呂は身体を清潔にするだけのものだが、日本人は風呂を楽しむ。温泉に入ってまず発する言葉は、「あ~ごくらく、ごくらく」だ。

●日本人の3.11でとった行動の素晴らしさ

3、11世界の人はびつくりした。他の国では飲み水が来たらとりあいになる。そのために殴り合いになる。これは、発信者文化の国にとっては当然のこと。まず自分が「水が欲しい」と意思表示をする。ところが日本人は、飲み水がきたら水を配る。周りを見て老人や子供など弱い立場で水の必要な人に配慮する。これは受信責任者の文化の違いだ。何が必要なのか読み取りそれを作る。
地理的影響がいかに文化に影響をしているのか知ることが大切。
中東では初めてであった人の間では地面に唾をはく。これは、砂漠の中で貴重な水分をあなたのために分け与えるという気持ちを表した行為。

●時刻に対する日本人の感覚

時間とのかかわり方も日本人は特徴がある。アメリカ人にとって1時間の区分は4通り。日本人に時間を聞くと全員「2時13分です」と分までいう。アメリカだと「2時過ぎ」で終わり。アメリカの電話の時刻のお知らせも分単位で秒は言わない。正確な時間を知るチャンスは分までで秒は言わない。

以前飛行機に乗れなくて九州から東京行の新幹線に乗ったことがある。このとき、大阪駅で乗り換え時間が1分しかないので、乗り換え場所と時間が間に合うかを車掌に聞いたら、もっとも連絡のいい車両を教えてくれたかつ1分の待ち時間を1分30秒にするように運転手に連絡する言ったのにはびっくりした。調べると、新幹線の運転手は定刻の“分”を中心に前後30秒の間に入ればいいので、30秒は運転手の裁量で伸ばすことができることを知った。こんな国は他にはない。

私は町屋に住んでいるので、家では旧暦のカレンダーを使っている。毎日自然の様子が記録されている。麦が黄色になる日という表現もある。江戸時代の時計は季節で違う。夏と冬で一刻(いっとき)の長さが異なる。人間が季節の方に従って時間をあわせている。

●外国人に訊ねて欲しい

外国人に「今何時ですか?」と訊ねる場合相手の時計を見て自分のものと同じだった場合に日本人の反応は4通りがある。
1)気付かない
2)気付くけど黙っている
3)「これは奇遇だ」と話をどんどん広げる
4)外国人みたら逃げていく

ぜひ外国の人に接して欲しい。そこで相手を理解しようと努めて欲しい。
私はそうすることで、言葉にないもの・言語の根底にあるものを学んだ。
先入観で相手を見ないで欲しい。

最近の若い人は、優秀だと思う。複数の場所から情報を得ようとしている。昔はアメリカ一辺倒であったのものが、最近はアジアにも目を向ける人が増えてきた。
人と人の間に箱がある。で、そこから“何”という文字ができた。「それは何?」という言葉は外国で使うとても便利な言葉だ。
大阪の船場の商人伝統の「もうかりまっか?」「夏のはまぐりや(=みくさりかいくさらず)」というような掛け合いの精神を生かして欲しい。
日本から文化力~遠くから見たNIPPON、日本から見た世界_b0036638_23534072.jpg

by okadatoshi | 2012-05-22 23:58 | 講演会記録 | Comments(4)
Commented by shinmama at 2012-05-23 08:00 x

会場に どっと笑いが沸いたのでは、、と思うところがいくつもあります。
寝てはいられない 楽しい講演会だったことでしょう。
私も 「これはいただき」と思う話が いくつもありました。

「Cool JAPAN」というテレビ番組が好きで 時々見ますが
外国人の方に 日本のよさを教えてもらうと うれしくなります。

お忙しい中、ブログにまとめてくださったお陰で 元気が出ました。
ありがとうございました。
Commented by okadatoshi at 2012-05-23 08:37
shinmamaさま
講演慣れした方でした。
冒頭、黙っていたら話しにくいです。
ほんとうに驚いたら「へ~」と言いましょう-と発言。
教室で学生に話す仕事なので、演壇で一方的に話すのは苦手です。
とって言ってフロアに降りて動きながら話されていました。
普段我々が気づかなかったものの見方に気づかされ新鮮でした。
電車で観察するのも楽しいですね。以前は寝込む時間でしたけど。
Commented by kazewokiru at 2012-05-23 09:24
okadatoshi 様
時には肩の凝らない愉快な講演会も良いですね。

中学を卒業した永山少年は、集団就職で宮崎から大阪へ出て来ました。
出迎えに来てくれた大将(社長)が、お昼を喫茶店でご馳走してくれた。
注文した焼き飯にスープが添えてあり、永山少年はそのスープが何か分からず、
焼き飯に少しずつかけて食べました。大将は無言であった。
永山少年は、現在75歳になりますが、会うといつも愉快に懐かしくその話をします。
Commented by okadatoshi at 2012-05-23 18:13
kazewokiruさん
名前から“無知の涙”の永山少年を連想しました。
似た境遇でも、出会いがその後の生き方に大きな影響を与えますね。

onlineで書き込み、出先の携帯で見るとなんと誤字。削除だけして帰宅後追加です。
facebookでシェアをしたら、なんとご長男の担任だったとか、高校時代に英語を教わったという方の書き込みが短時間にあり、facebookの反応の速さにちょっとびっくり。
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