インターネットが壊した「こころ」と「言葉」
b0036638_16421652.jpgblogerの方の紹介で本屋でも気になっていた本です。週に何度か三宮を通るので、三宮図書館に申込み最近読みました。

著者の、森田幸孝氏は広島市民病院で精神科副部長として勤務。
本の紹介では、
現代社会では、精神的な悩みを抱える人々が増え続けています。その背景として、携帯電話やインターネットの普及による急速なコミュニケーション手法の変化が挙げられます。これらが私達の思考力と言語力の低下を導き、ひいては精神の衰弱を引き起こしているのです。今、私達の身に何が起きているのか。ネットが我々の「こころ」にもたらした功罪を明らかにしていきます。
とあります。
ここをクリックして、“このほんの中身を閲覧する”をクリックすると「はじめに」と
出だしの部分が閲覧できます。

目次は、
第1章 いま、心と言葉が壊されている?精神医療の現場から見えてきたこと
第2章 言葉の衰えが止まらない
第3章 インターネットの二〇年がもたらした功罪
第4章 メリット、デメリットを生み出すSNSのカラクリ
第5章 インターネットが劣化させたコミュニケーション
第6章 日常に入り込んだネットが知的財産を侵食している
第7章 精神医療の変化
第8章 壊された「こころ」と「言葉」は再生できるか

前半では、“ウェブ上で多彩な人間関係を構築することにより、次第に人と人との関係が疎遠になり、親密なコミュニケーションを取ることが減ってきました。インターネットの普及以前であれば、自身の好きでない人や、あるいは苦手だとい感じるような人とも付き合っていかなければなりませんでした”と指摘、“「待つ」という行為が省略されたのが携帯電話やEメールなどによるコミュニケーションの変化”と述べています。
授業中にも机の下でこっそりとメールのチェックをし、友人と食事をしたり会話中でもメールの着信音が鳴ればその返事を打ち返し相手も特にそれを奇異とか感じない場面はよく目にします。
筆者はすでに、“言葉はすでに主役ではなくなった”と言います。SNSの短文と画像の普及により“言葉が磨かれなくなった”。そして“美しい言葉”に出会う機会も減りこのことが」精神面でも変化を起こしていると述べています。

このあとインターネットがもたらすメリットとデメリットにも触れていますが、筆者が危惧しているような子供たちの思考の変化は現職時代にも感じていたことでした。
またSNSのつぶやきによる実名と匿名の問題など“ネット文化”がもたらした現状分析は、うなずきながら読んでしまいました。
「聴く力」と「話す力」の衰退を生身の人間と繋がることで、再度どのように獲得していくのか、光の部分だけが注目を浴びやすい教育現場の負の部分への対応も必要と思います。
SNSにかかわる時間が多くその繋がりを肯定する人にとっても、筆者の投げかける“140文字”の言葉に対抗した「磨かれた言葉の獲得」や、「IT化の影の部分を見直す」ためにも参考にすべき本と思います。
インターネットが壊した「こころ」と「言葉」
森田 幸孝 (著)
幻冬舎ルネッサンス新書
価格880円
ISBN978-4-7790-6054-0

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by okadatoshi | 2012-05-08 16:43 | 読書 | Trackback | Comments(4)
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Commented by kazewokiru at 2012-05-08 21:03
okadatoshi 様
インターネットがもたらした光と影は、先生が前々から指摘をされていますが、改めてこの事を考えますと光と影=功罪と言い換えても良いように思えます。
中高生に「メールは何回するの?」と尋ねますと「1日100回」と言います。理由も尋ねますと想像通りで「仲間外れになる」が多いです。メールの依存だけに留まらず一般的な保護者の知らない世界があるのでしょうね。この子供達が大人になって後、今をどう振り返るのでしょうか?
家庭や教育現場の対応が難しそうなデジタル時代ですね。
Commented by okadatoshi at 2012-05-08 22:44
kazewokiruさん
今の若い人にはその時代にあった生き方や、“今”にいたった必然があるわけで、「最近の若者は」風な評論はしたくはないですけど、物の豊かさと心の豊かさが場合によっては排反する場合があることは知らないと・・・・・。
子供は友達と外で遊ばないとアカンです。
塾通いとゲーム漬けから豊かなコミュニケーションが生まれるとは思えない。
Commented by Hiro at 2012-05-09 06:21 x
この書籍は、以前私のブログで読後感を紹介したら、とし様から貴重なコメントを頂戴しましたが、
ここで改めてご高説を拝聴、ありがとうございます。
Commented by okadatoshi at 2012-05-09 06:28
Hiroさま
普段危惧しているIT化の影の部分を明快に解きほぐしてくれる本ですね。
“炎上”が起きやすくなる心理や事例も多く出ています。
学校の情報関係の講座でも触れるべき内容だと思うのですが、残念ながらこの分野や生徒たちの関わり方に疎くきちんと指導できない教師の方が多い気がします。
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