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差別と日本人
差別と日本人_b0036638_1112183.jpg 野中広務氏と辛淑玉氏のそれぞれの立場で対談して内容を、新書版にまとめたものです。
差別される側といっても立場がかなり異なる中率直な意見交換とそれぞれの立場がわかりやすくまとめられています。
 前書きで辛氏は「差別は暗黙の快楽なのだ」と述べています。
長らく日本の政治の中心であった自民党の幹事長をやり官房長官の要職についた野中氏との共通部分が対談の中で、明示されています。

 野中氏の「もめごと仲裁」の卓越した能力もさることながら、自由民主党が長い間政権担当し続けた理由として、状況に応じて人を変えていく政権延命能力があったことがわかります。
 天皇と親戚関係をもち上からの目線で周りを見る麻生氏の創氏改名発言(朝鮮人自身が望んだ)への批判や、野中氏が政局の転換期でどう動いたかそれがどのような影響を与えたか、政界を引退したはいえなお影響力をも野中氏の発言は興味深い。

 おなじ書店の平積みで、「日本を貶めた10人の売国奴政治家」(小林よしのり編@760円幻冬舎新書)では、「怖くて暗い野中広務」と断じ、6位にランクづけをしています。しかし、こういう表層的なレッテル貼りは説得力がなくこの対談集の中身に応えられていません。挑発的な出版物からも無視しえない存在であることがわかります。
 Webの検索でも、差別問題に関連して多くの「ためにする意見」が氾濫する中で、この対談集はきちんと差別問題を考えていく上で、ガイダンス的な本と思いました。

“差別と日本人”
野中広務(のなかひろむ)・辛淑玉(しんすご)対談集
角川oneテーマ21 角川書店 724円 ISBN978-4-04-710193-7 C0295 \724E

by okadatoshi | 2009-08-21 11:21 | 読書 | Comments(0)
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