平日の月曜日「武士の一分」の鑑賞に出かけました。夫婦とも60才を過ぎたので年齢を証明するものがあれば、@1000円。会場は熟年の人々がほとんどでした。
藤沢周平原作の山田時代劇の最後の作品です。木村拓哉がいい役をこなしていました。
山田+藤沢+名もない下級武士=“かつては日本人に存在していた情愛の世界”を描写しています。
封建制の厳しい下級サラリーマンの生活を通して山田監督の思いが語られています。妻加世に「今の生活が嫌になった。子ども達に剣道の道場を開きたい。身分に差別なく農民の子どもも集め、その子の能力に合わせた指導ができる道場だ。」というくだりは映画「学校」を描いた監督の延長線上にある言葉でもあり、現在の能力主義・成果主義の教育現場に対するアンチテーゼでもあります。
失明からスタートするドラマ展開ながら「たそがれ清兵衛」よりも画面構成が明るく最後は二人の絆が成就されるドラマ展開が予感されるテンポで2時間が進んでいきます。
配役の配置、性格作り、衣装などの時代考証などきちんと計算をされ、幾何の証明のように筋書きの展開がカチッと構成さえれた分かりやすいドラマでした。映画という大きな画面の視覚から入る情報を大切にして言葉を少なくすることで演じる俳優の心情に同化させる手法は手馴れた監督業と思います。
公式HPサイトは、下記。
http://www.ichibun.jp/
前回の「ラスト侍」から久々の大型スクリーンでの映画館での鑑賞でしたが、本番の開始までの予告編やら広告で20分近い中途半端な画面の延々の連続は苦痛。