blogにはパソコン教育がらみの話題を取り上げていますが、現職時代にかかわったパソコン関係の資料や当時の受け入れ状態をまとめておこうと思います。これらを新たに”ICT教育前史”というヘッダーでスタートさせます。
数学教員になるためには専門教科では次の科目が必要になります。▼
コンピュータがしっかり専門科目に入っています。もう50年以上前の私の学部時代の科目では代数・幾何・解析・統計とコアの科目は変わりません。
⑤のコンピュータに変わるものとして実用数学という科目が開講されていました。
この中で
タイガー計算機を使って3乗根の開平方法をやりました。電卓もない時代、唯一機械式に演算を行う機器でした。
そのほか、測量学の演習がありトランシットをかついで市街地の狭い道でトラバース測量の真似事をしました。周りの「商店主から立ち退きですか?」と聞かれ「いや調べているだけです」という会話をしたような。
純粋数学以外に応用分野の習得を求めたカリキュラムでした。
電子計算機は在学中に初めて大学の入ったものの一般学生が触れることはなく、担当の助手の方が操作を誤って感電死をしたという事故が当時のローカル紙に掲載されていました。
現在、数学科教育法A,B,C,Dの4科目を担当していますが、C,Dはコンピュータ演習室を使い機器を使った数学教材の作成を行っています。
私の時にも数学科教育法という科目がありました。
大学に在学中から就職した当初にかけて、代数・幾何・解析の講義録を清書しなおして現在も保存しています。
数学教育に関する科目で唯一清書しなかった(できなかった)科目が数学教育法です。
一般教養や教育原論や青年心理学などとは違い専門科目は一応真面目に講義に出てひたすら教官の話をメモにとっていました。
教官は何かの著述に使う原稿なのか文章を読み上げて、学生はそれを書き取るだけの講義です。
次の文章はその1頁目です。読みにくい文字ですが出だしは次のように読めます。
「カントが数学において驚嘆した3つの事柄を上げてみよう。その内のひとつは第一批判において他の一つは第三批判において述べられたものである。それらの問題を考察することによって数学と数学教育の基礎を見出したいのである。古代の幾何学者達は地上に重力の法則のあることを知らずに放物線の性質を研究した。さらに惑星に引力の法則のあることを知らずに楕円の法則を研究した。彼らはかかる知識が何の役に立つかという疑問をも抱かず無心に二次曲線の性質の研究に没頭した。・・・・・・。」▼
今の講義はもっと実践的で現場主義の内容になっています。