高校時代の親しい友人K君について、デジの目で「K君を語る会を京都で(09/07/12)」として触れました。
また彼の追悼集とやはり親しかったS君の追悼集に関係して「高校時代の友人の遺稿集二冊(09/06/22)」としてアップしています。 右の写真は、K君、S君と撮った高校時代の写真です。やはり親しかった市内から離れたH君のお宅に行き彼が撮ったものでしょう。この日、近所で捕れたウサギ肉のすき焼きを食べたと日記に書いてます。 ここで取り上げた冊子を、Gさんへ渡しました。 Gさんは第二ステージで私が担当している教科法で単位をとり教師をしています。 民間経験もあり途中から科目履修生として教職と専門科目を2年間という最短距離で取得しました。難関の教員採用試験を通って今年高校の教諭になりました。 年齢的には20代後半で社会で苦労した分職業意識も高く洞察力もあります。最近の大学生や教えている高校生とのギャップにも敏感でなかなかの理論派です。 先にふれた本の感想をGさんのSNSで触れていて、私自身の過ごした高校時代がGさんのコメントによって客体化され思わぬ発見もあります。 引用をしながら私の過ごした時代を考えてみたいと思います。 Gさんは、私の過ごした学生時代を昭和40年代とくくっていますが厳密にいうと昭和33年高校に入学。昭和36年に大学に入り昭和40年に新任教員として採用されました。 私が過ごした高校・大学生と最近の高校生とは、同じ名称で呼べないほどに、質・量ともに大きく変わっています。 文科省の「データからみる日本の教育(2008年)」の「大学等進学率の推移」によれば、私の大学に進学した1961年の近くの1960年の18歳人口の3年前の中学卒業生を分母とした大学・短大進学率は10.3%。 2008年では55.3%、高専・専門学校まで含めた高等教育への入学者は76.8%になります。 高学歴化自体は、学習の機会を得られるという点では意味がありますが、内容の質的な低下は確実に進行。入学者は必ずしも学習意欲があるわけではなく社会へ出る前の4年間がモラトリアム的な遊民のストック期間になっています。 私のころは、高校への進学もやっと5割を超え、その先の大学への進学は学力と経済力の両方を満たさないと無理でした。行きたくても選べない進路があるということは、珍しいことではありませんでした。 大学生の「インテリゲンチャ」としての選良意識が根底にありました。大きく変わる体制に対して、デモ行進は身近なノンポリにもそんなに抵抗のない表現手段でした。 今は学内は石鹸工場に「ように清潔でタテカンなど皆無です。 【Gさん】書物に記された昭和40年代は、今の時代とずいぶん違います。 情報の更新が今みたいに活発ではなく、一つ一つの出来事を大切にしていた時代に思えました。 昭和40年代は、電話が一般家庭に普及していたのか分かりません。今の時代は携帯電話ひとつあれば、メールなり電話なりすれば直接本人と話が出来るのかもしれません。ですが、かつてはそうではなく、文通という形で連絡を取り合っていたようでした。(それが当たり前と感じないのは、私がもっと後の時代に生まれたからでしょう・・・) 確かにメインの連絡手段は「手紙」でした。自宅に電話があるのはゆとりのある家でした。学校の住所録に(呼)として近所の電話のある家の電話を頼んで記載していました。相手に意見を伝えるそれがかえってくる間に考える時間がありました。ケータイの出現で情報の質が軽く無意味な情報量の中に埋もれています。 【Gさん】当時に比べると、現代はグローバルスタンダードの名目上、どこに行ってもある程度は同じようなもの・同じような価値観を手に入れることができます。ですが、かつてはそのような時代ではなく、地域によってそれぞれの独自色があったように思えました。そんな時代がどうしてか、私にはうらやましく思えます。 かつて県外の大学に行く就職するということは、それまでの生活と決別して別の世界に入るということでした。今は海外旅行を含め人の動きは活発に簡単にできます。「故郷を出る」という悲壮感はありません。TVが普及を始めたときで、確かに地域の独自の文化が根強くありました。 【Gさん】かつての時代の方が純粋であり、お互いを分かり合えていた気がします。今や個性(あるいは悪い意味でのワガママ)が尊重され、個人の嗜好・趣味が反映される時代になりました。かつては、自分が一人になった時、自己を振り返り他人を思いやる時間を持っていたのかもしれません。ですが、今は一人になれば孤独を感じる時代かもしれません。(今の方が、きっと便利な社会になったはずなのですけどね・・・) ギリシャの昔から「最近の若い者」を憂える落書きがあたっと伝えられるます。 「今の若い者は」はあまり意味はなく、当然今の若者文化は現状にあわせ育っていると思います。当時は、やはり先行きの混沌とした中で社会が変わるかもしれない、変えなければならないという思いがある時代ではありました。 情報化社会という「パンドラの箱」を今は開けてしまいまいました。 インターネットを叩けば、未来や・悩みや・生き方はたくさん、たくさん出てきます。その中からその時の気持ちにあったものをチョイスすればいいだけです。作り出す能力は育たなくても選ぶ気軽さは身につけています。選ぶだけで考える時間、行為の訓練の場がなくなってきました。そして、その問題解決が済んでいなくても、次の新しい関心ごとが次々にとってとってかわります。 私の世代は、生まれたのは戦前でも国民学校など知らないし、戦後生まれの団塊の世代でもありません。大学に進学したときは、60年アンポは終り挫折感の中で大学時代が始まりました。いわば乗り遅れた世代という特徴があると最近感じるようになりました。 過ぎたことに対して、年配者は寡黙です。このWeb環境を使って自分たちの育った時代をこれからの若い人へ伝えていくチャンネルを見つけていきたいと思います。 私自身、仕事も高校に選び、教職生活の中で「標準座標軸」をK君やS君と過ごした時代においているためか、友人たちとゆっくり時間を共有できたというもの貧しくても教育的には恵まれた時代を過ごしたという思いはいつもあります。
by okadatoshi
| 2009-08-25 18:04
| セピア色/若い時代
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Comments(3)
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Gさん
at 2009-08-25 21:39
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お互いに違う時代を生きてきたように感じます。(とし先生と私が対等な立場ではありませんが、この言葉以外にどう形容して良いのか分かりません)
SNSの件を引き継いで、こちらにコメントさせて頂きます。 私が昭和40年代と括ったのは、ちょうどSさんが大学を卒業して、社会の荒波にもまれた事に、心を打たれたからでした。また、Sさんの著述が昭和30年代後半を下地に、40年代前半の激動の時代を闘ったように感じたからでした。志半ばに倒れたSさんに対し、「死をもって尊ぶ」訳ではありませんが、「貴方の方が純粋だ」と私は思います。 私の場合、高校時代に比べると、大学時代の方が良くも悪くもぬるま湯ににいて、何かがおかしいと思っていました。それが社会に出てやはりおかしい事に気づき、模索の2年を経て科目等履修生という形から再スタートしたのでした。(後の世代の言葉を借りれば、それをリベンジというのかもしれません) <コメントが長くなったので分割します>
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Gさん
at 2009-08-25 21:46
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<上の記述の続き>
誰もがある瞬間に振り替えるのかもしれませんが、「私の時代は何だったのだろう?」と先生の本を読んでいて思いました。「いい大学に入れば、良い所に就職が出来て、将来は安泰だ」という文句のもと、訳も分からず勉強させられたのですが、「何のために勉強するの?」という疑問は先送りされていました。当時の先生は「それは大学に入ってから考えなさい!」と言いました。 大学に入る前にはバブルが崩壊し、卒業するころにはいつのまにか就職難の時代になっていたのですが、それをロストジェネレーションという言葉で片づけられると、何かやるせない気持ちになります。「あの時の、スローガンは嘘だったのですか?」 そんな時代に比べても、とし先生の時代の方が「志を持っていた」気がします。明日の未来を考えるという意味では、今よりも進んでいたのかもしれません。そこに心惹かれるものがあったのです。 遅くなりますが、もう少し時間をかけて読ませていただきます。
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okadatoshi at 2009-08-25 22:19
きちんと読んでいてもらっているようでうれしく思います。
時間は気にしないで空き時間に読んでください。 実はS君の遺稿集は、彼の所属している組織が出した もうひとつの遺稿集があります。 そのサブタイトルは、 若くして逝った不屈の労働者革命家 (ペンネーム)同志に献げる とあります。関心があればお貸しします。 彼は高校を出てからやっていることを我々に 語ることはなくかといって、会うときは高校時代と同じく コマメにメリケン粉主体のお好み焼きをせっせと作って いました。 医療ミスで一審では勝訴したものの高裁では逆転敗訴。 彼のことを文章化することは至難の業です。 またいつかお会いする時に話せたら話します。 別の世界、時間を生きたのは確かでしょうが理解して もらえるなら伝えたいという気持ちもあります。
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